彼ははっきり言って「ビッグマウス(大きな口)」だ。
ウォーキングホリデーで留学中に、友達に誘われて参加したホームパーティーで出会ったのが最初だった。
ねこっ毛の金髪に、茶色の瞳をしたオーストラリア人で、彼はホストに近い立場だったのだけど、変に無愛想で最初はかなり戸惑った。
慣れない英語で話しかけても、ジェスチャーで返事をしてきた。
2回目に会ったのがその翌週にあったスクールの親睦会。
彼は現地スタッフの友達として参加していた。
最初は変な被りものをしていて、誰だか分からなかったのだけど、顔を見て驚くと、嬉しそうににやりと笑った。
3回目に会ったのはその翌日。
その日偶然、初めて入ったカフェで彼は働いていた。
カウンターにいた彼は私の顔を見ると、ゴーストでも見たように驚いてグラスを割った。
後から席までやって来て、彼は大真面目な顔をしてこう言った。
「こんな短期間に繰り返し合うなんて、これはもう運命だね。結婚しよう!」
たちの悪い冗談だと思ったし、留学生を狙った詐欺だろうと思った。
オーバーに言えば身の危険を感じた。
その時アドレスは貰ったけれど、もちろん連絡はしなかった。
けれど彼は友達経由で連絡をしてきては、釣りやサーフィンに誘ってくれた。
そして友達と一緒に遊ぶ度に、私を運命の人扱いをした。
彼の友達はコイツがこんなに積極的なのは初めてだとからかった。
そのリップサービスに乗った感じで、私は彼と付き合い始めた。
留学を終えて私が帰国する際、彼はまたそのビックマウスで大事を言い出し、すぐに日本に追いかけると言った。
本当にどこまで本気の運命なのか、苦笑とともに、今私は彼を待っています。
教え子との再会
お弁当屋で仕事をしていたら、突然「○○先生ですか」と聞かれました。
よーく顔を見ると、私が大学を卒業して初めて教えた生徒ではありませんか!
「○○君?」と私も自然とその生徒の名前が出てきました。
初めて教えた生徒、しかもとてもいたずらっ子で、人懐っこく、とてもかわいい生徒でした。
おかげで名前も10年たっていたにもかかわらず、スッと出てきました。
名前がスッと出てきたことには、私もちょっと驚きましたが。
でも、生徒も私のことをおぼえていてくれてとってもうれしい!
残念なことに、お弁当屋はとても忙しい時間でしたので、仕事をしながらちょっとお話するだけでした。
それから、数時間後、お店に電話がありました。
私が出ると、先ほどの生徒からです。
その子は申し訳なさそうに、「あの~、あの時おつりもらいましたっけ?」と。
そういえば、あまりの懐かしさとうれしさと、忙しさで、おつりを渡すの忘れてしまったかも・・・
いや、確かに忘れてしまったな、あの時・・・
なんとも言えない気まずさ。
先生としてのメンツもなく、ただ店員として謝るのみ。
後日、おつりをとりにお店にわざわざ来てくれました。
残念ながらその時わたしはお店にいなかったので、会うことができませんでした。
それから、気まずさもあってか、その子は二度とそのお弁当屋さんに来ることはありませんでした。
わたしにとっては、とても思い出に残るその生徒との日々。
もう一度会って、卒業後どうしたのか、今何をしているのか聞いてみたかったな。