高校卒業と共に浪人を選択し、自己推薦で次の冬には進路が決まった私は、バイトに明け暮れていた。
そんな私を気遣って、親友が夜、たまには遊びに行こうと誘ってくれた。
親友の運転でドライブしていて、ふと窓を開けたら、駅の通り抜けられる構内からギターと歌声が聞こえてきた。
私は親友にお願いして、車を停めてもらい、二人で近づいた。
そこで歌っていたのは、超イケメンで、完全オリジナルの弾き語りをしている8つも年上の人だった。
まぁ、すぐに休憩中声をかけて話したから情報は入手したんだけど。
それから私は、電車で二つ隣のその町まで3日に1回は一人でも聞きに行った。
もちろん、歌も歌詞も声も好きだったけど、とにかく彼と話がしたかった。
1週間たったある日、私は車で送ってもらえることになり、緊張しながらも気持ちを伝えた。
なんと彼はOKしてくれた。
今まであまり付き合ったことがないからよくわからないけど、私のことは好きだからって。
それからは、彼の曲作りに付き合ったり、他愛もないデートをしたり、もちろんライブを聞きに行ったり、とにかくいつも一緒にいた。
本当に彼はピュアで、私たちは3ヶ月たってもキス止まりだった。
今考えたら、年の差を気にして大事にしてくれてたのかな、なんて思うけど。当時の私はちょっと物足りなさも感じていた。
私の二十歳の誕生日に、彼はシルバーのハートのネックレスをくれた。
夢を追うためバイト生活でお金がない彼なりの素敵なプレゼントだった。
そして、その日を境に彼は音信不通になった。
駅にも行ったけどいなかった。
あれから4年、私のは福岡の大学で過ごしている。
もちろん、彼氏もできたりしたけど、いつだって私は彼を探している。