忘れられない女

会社の後輩の友人の話です。
彼女はとても大好きな彼がいました。
塾の講師をしている人だそうです。

最初は塾で出会い自然と恋愛関係になったそうですが、彼の浮気が発覚して更に彼から「相手を好きになってしまった、別れてほしい」と言われ、半ば強引に別れさせられたのだそうです。

その時から彼女の様子が変わってしまい会う度に「彼は優しいから言い寄られて断れないでいるのよ、私に彼女といる姿をみせると私が悲しむと思って私の為に、私を遠ざけて傷つけないようにしようとしてくれてるの」といい始めたそうです。

後輩は最初は「そうかもね」と相槌でごまかしていたものの、半年経っても彼女の考えは変わらず「彼とはあれから一度も連絡を取り合えていないけど、いつも見ているの、遠目で様子を見て彼から合図が来るのを待っているの」と言うのだそうです。

後輩は「ちょっとストーカーはいってない?」と周りの友人に尋ねたそうです。すると一人から「今それで元カレから相談受けてて困ってるんだ」と話されたそうです。

元カレの話しからすると、彼女と付き合い始めて少し気が合わないな、しつこいところと自分勝手なところがしんどいな、と思っていたところに今の彼女と出逢ったそうです。
そしてもうすぐ結婚をしよう、ということで段取りを始めている、というのです。

しかし、最近になって周りの生徒たちから塾の外でいつも同じ女性が先生の後をつけているよ、と教えられたそうなのです。

悩みを相談するな

中学生の頃、ダンスやボーカルを教えてもらう教室に通っていた。
今考えると、かなり厳しいレッスンを行っていた。
夏休みの強化レッスンは今考えても地獄のように辛かった。

仰向けに寝転がり、脚を伸ばしたまま床から30度上げる。
そのままアップテンポの歌を歌いきらなければ、またやり直し。
みんながで汗をダラダラと流しながら声を出していたあの光景は忘れられない。

同年代の女の子が多かったため、クレープを食べに行ったりプリクラを撮りにいったりと仲良くなっていた。
しかし、私たちの様子を見て、先生は「仲良くても構わないが、悩みを相談するな」と言った。
誰かが、学校で起きた嫌なことや、好きな人に振られたことなどをレッスン前に話すと、「そっかぁ…。そんなことがあったんだ…。」とみんなが同情し、マイナスの感情を共有してしまう。

先生はレッスン場に入ってきた瞬間、そのマイナスの空気が流れているのをすぐに察知し、明るい歌も歌えないし、腹筋に力が入らなくなるから、悩み相談はやめろと指導してきた。
「悩みを話す人はみんなの足を引っ張っている。嫌なことを吐き出す相手に、レッスン生を使うな。仲間ではあるが、友達じゃないから。」と強い口調で言われたのが今でも忘れられない。

大人になってから、先生の言っていたことがよく分かる。
マイナスの感情は伝染するのだ。
カフェでお茶しているときに、旦那や会社の愚痴を話しているグループと、彼氏ができたばかりの子の初旅行の話をしているグループでは、全く流れている空気が違う。

女はとくに、悩みをすぐに話したがるし、同調してほしいがために話すので気持ちの切り替えができない若い内は、マイナスのことを伝染させるべきでないなと思う。